INICIAR SESIÓN知り合ってから20ヶ月。紆余曲折を経て無事にゴールインした篠沢絢乃・貢夫妻。今日はそんな二人の結婚式&結婚披露パーティー! 絢乃が会長を務める大財閥〈篠沢グループ〉の中枢・篠沢商事の社員、絢乃の親友たち、二人の親族……。たくさんの人たちが、8歳差の年の差カップルの結婚をお祝いに来てくれた。 結婚披露パーティーが終わり、二人は四泊五日の新婚旅行へ。行先は海外ではなく、兵庫県の神戸・淡路島方面。 彼女たちはそこで、一年前に出張で訊ねた神戸支社の川元支社長と再会。 旅先では仕事のことを忘れ、毎日イチャイチャする二人なのだった……。 『トップシークレット☆』のその後を描いた、甘々アフターストーリー♡
Ver más ――六月。梅雨入り後の貴重な晴天の中、わたし・
ここはわたしが会長を務める大財閥〈篠沢グループ〉の所有する式場で、大きなシティホテルも隣接している。
わたしたち夫婦も、昨日婚姻届を提出してきたその足でそのホテルにチェックインし、今日は朝からこの式場に来て、それぞれ式の準備を始めた。そして午後の結婚披露パーティーが終わると、そのまま新婚旅行のために
ちなみに、貢は篠沢家の入り
彼はわたしの初恋の相手だった。二年前の秋、当時十七歳だったわたしは当時は総務課の平社員だった八歳年上の彼に生まれて初めての恋をしたのだ。
それからは色々なことがあり、わたしが会長に就任してからは、彼は会長付秘書としてわたしのことを公私ともに支え続けてくれた。
わたしたちは昨年のバレンタインデーを機に両想いとなり、交際をスタート。その後、彼が過去に抱えた女性へのトラウマも二人で乗り越え、今日ここで晴れて夫婦となれたのだ。 * * * * 「――新郎・篠沢貢。あなたは式は慣例どおりの式順で、そして和やかなムードの中進行していく。
「誓います」
神父さんの前でそうキッパリ宣言した彼を、わたしは頼もしく思った。衣装選びの時には、わたし以上にゴネて担当スタッフを困らせていたけれど、その末に決まった白のタキシードが細マッチョの体によく似合っている。今は辞めてしまったらしいけれど、昨年夏からキックボクシングを習っていたのだそう。
「新婦・篠沢絢乃。あなたは病める時も、健やかなる時も、夫・貢を愛しみ、敬い、共に支え合うことを誓いますか?」
実は神父さんのこの言葉は、一般的なものに
「誓います」
わたしも堂々と、神父さんと彼の前で宣言した。
この結婚式はきっと、天国の父も見てくれている。母もわたしと彼の恋の行方を温かく見守っていてくれた。わたしは絶対に、彼と幸せになる、……ううん、わたしが彼を幸せにする! そう誓ったのだ。
わたしたちは、
その後、指輪の交換をして――。このプラチナ製の、シンプルながら遊び心のあるデザインの結婚指輪は、四月に二人で選んだものだ。
わたしの指に指輪をはめるのはこれが二度目なのに、貢の手は小刻みに震えている。横でわたしのブーケとショートグローブを預かってくれている
「……ねえ貢、もしかして緊張してる?」
周りには聞こえないように小声で訊いてみると、彼も小さくコクンと頷いた。
「こういう時は、〝カボチャ〟じゃなかったっけ?」
「……はい?」
わたしのアドバイスに、彼は目が点になった。
「
「……ああ」
彼もやっと思い出してくれたらしい。これは十七ヶ月前、わたしが会長就任のスピーチをする前に、緊張していたわたしに彼が教えてくれたおまじないだった。
「どう? 緊張ほぐれた?」
彼の震えが止まったようなので、わたしはもう一度こっそり訊いてみた。
「はい。おかげで、恥をかかずに済みました。ありがとうございます」
――こうして、無事にわたしの指にプラチナリングが収まった。
今度はわたしが、彼に指輪をはめる番。男性の指にリングをはめることなんてもちろん初めてのことだったので、さっきの彼の緊張も決して「でも絢乃さん、会場はともかく衣装はどうするんですか? 結婚式の衣装、あの後どうなったか分かりませんよね?」「あるよ、衣装。だってあれ、全部レンタルじゃなくてオーダーメイドだもん」「……はいぃぃ!? あ……あるんですか、全部!?」「うん、ウチの衣裳部屋にね。貢は知らなかったんだっけ。後で案内してあげるよ。だから大丈夫」 これで衣装の問題も解決。あとは会場さえ押さえられれば、こちらはいつでも結婚披露パーティーという名を借りた臨時の株主総会が開ける。「――というわけなんで、宏司さん。話はまとまりました。この休暇期間中に、お望みのとおり結婚披露パーティーは開きます。ただし、内容などの決定権は全てこちらに委ねて頂いてもいいですか? それが絶対条件です」「……分かった。その条件、呑もうじゃないか。ときに貢君……だったかな」「はい?」「せいぜい、我々篠沢一族に恥をかかせないことだな。では、私はこれで失礼するよ」 最後の最後までイヤミを投下しながら、宏司さんは帰っていった。嵐が過ぎ去ったように、リビングの空気が穏やかになる。「……ふぅ~、やっとうるさいのが帰ってせいせいしたわ」「史子さん、玄関に塩撒いておいてくれる?」「はい、若奥様。かしこまりました」 わたしがお願いすると、史子さんはキッチンから塩のポットを持ってきて本当に玄関先にパーッと撒いた。
「――ちょっと待ちなさいよ」 そこへ突如口を挟んだのは、宏司さんのいとこでもあり、この篠沢家の実権を握っている母だった。「さっきからあなた、何を勝手なことばかり言ってるの? 絢乃と話したいって言うから私はずっと黙ってたけど、そろそろガマンの限界だわ。言わせてもらいますけどねぇ、宏司さん。あなたにこの子の結婚相手を決める権限も、結婚披露パーティーをやれって言う権限もないの。貢くんを婿にえらんだのは絢乃自身だし、彼のことは亡くなった夫だって認めてくれてたわよ。私にとっても自慢の娘婿だし、歳こそそんなに離れてないけど自慢の息子なの。結婚式の規模だって、招待客だってこの二人が決めてやったことよ。それは親の私にだって口出しできないの。あと、絢乃はこの家のために結婚したわけじゃないから。貢くんのことが好きで、貢くんも絢乃のことを好きになってくれたから結婚した。それだけ! それは篠沢家のメンツとは何の関係もない。はき違えるのもいい加減にしなさい!」「……はぁ」 母に一気にまくし立てられ、宏司さんはたじたじだ。「ママ、スゴい……」 わたしも母に感謝の拍手を送りたい気分だ。わたしが言いたかったことを、全部代弁してくれたんだもの。 そして、宏司さんから「開け」と言われた結婚披露パーティーについて、わたしにはちょっと閃いたことがあった。「篠沢のため」というなら、それを思う存分利用させてもらいましょう!「絢乃、こんな人の言いなりになんてなることないわ。パーティーなんて開かなくていいわよ」「ううん、ママ。パーティーは開くことにした」「絢乃!?」「絢乃さん!?」 わたしの返事を聞いて、母と貢が飛び上がる。一体何を考えているんだと言いたげだ。「わたしにちょっと考えがあるのよ。二人とも、耳貸して」 目を丸くしている二人にだけ、わたしはこっそり打ち明けた。このパーティーを、リモートの臨時株主総会にしてしまおうと。つまり、月末に予定されている株主総会の予定を少し早めて、その場で貢の専務就任も発表してしまうつもりなのだと。「……絢乃さん、そんなことできるんですか? いくら何でも無茶なんじゃ……」「できなくはないよ。会場と日程さえ押さえれば。……ただし、株主さん全員への事前通知と、あちこちへの根回しが必要になるけど。費用のことは心配しなくていいでしょ? ウチの
「貢……」 彼がわたしのために、宏司さんにそう言ってくれて胸が熱くなる。彼は出会った日からずっと、本当にわたしのことをちゃんと見てくれていたんだなと思うと、やっぱりこの人と結婚してよかったなと実感できる。「お父さんが亡くなって悲しくないわけがないじゃないですか。絢乃さんがあの時、どうして泣かなかったと思ってるんですか。あなた方に、弱みを見せたくなかったからですよ。あなた方のせいで、絢乃さんは泣きたくても泣けなくなっていたんですよ!」「貢、もういいよ。ありがと」 これ以上、彼がわたしのためにこの人から憎まれる必要はない。彼からの援護射撃はあれだけで十分だ。「……まったく、加奈子さんの婿さんもたいがいだったが、娘婿も似たようなもんだな。貢君といったな。君のご両親の職業は?」「父は〈篠沢グループ〉のメインバンクで支店長を務めています。ですが、決して絢乃さんの力でそうなったわけではありません。母は元保育士で現在は専業主婦です。あと四歳上の兄がいて、料理人をしています。……それが何か?」「言っておきますけど、宏司さん。彼は決して逆玉狙いでわたしに近づいてきたわけじゃありませんから。それと、父が仕組んだ政略結婚なんかでもありません」 これは宏司さんが彼のご両親やお兄様の職業でマウントを取ろうとしているんだと気づき、わたしは先手を打った。ところが、彼はわたしたちの想像の斜め上をいくことを言い、わたしたち夫婦を非難し始めた。「誰もそんなことは思っちゃいないよ。ただ、どうして結婚式に篠沢家の親族を招かなかったんだね? 貢君の家族は呼んでいるのに、絢乃ちゃんの親族は父親の兄弟の家族だけだったというじゃないか。篠沢家の人間が加奈子さん以外一人もいなかったなんて、篠沢一族の名折れだとは思わんかね」
「あの時はわたしのこと、散々バカにして下さいましたけど。今では立派に会長の務めを果たしてますよ。大叔父さまが会長になられていたら、どうなっていたでしょうね」「…………ああ、確かにその点は認めるとしよう。だが君は、パワハラ問題の時に顧問弁護士とぶつかり、挙句顧問を交代させる事態になってしまったんじゃなかったかな」「ああ、そんなこともありましたね。ですがご心配なく。新たに顧問としてお迎えした阿佐間先生とは、おかげさまで良好な関係を築いていますから。それとも、あの先生の意見を鵜吞みにして隠蔽した方がよかったとでも?」「…………そっ、そんなことは言ってないだろう!」 わたしに痛いところを衝かれたらしい宏司さんは、苦し紛れに吠えた。 あの頃、確かにパワハラ問題を公表してから一時だけはグループの信用が揺らいだ。でも、その後すぐに信用は回復し、経営には何の影響も出なかったのだ。そのことは彼もよく知っているはずで、さっきまでの発言はただの負け惜しみということになる。 そして、グループの顧問弁護士が唯ちゃんのお父さまに交代した経緯は宏司さんが言ったとおりである。 前任の顧問弁護士の先生は、わたしがあの問題を公表したいと言った時に「どうして公表しなければならないんですか。隠し通せばいいじゃないですか。その方がグループの信用にキズをつけなくて済む」と言い、わたしとは見事に意見が対立した。それでもわたしが強行的に公表に踏み切ったため、「もうあなたに手をお貸しすることはできない」と自分から顧問を降りてしまわれたのだ。その後にたまたま知り合ったのが阿佐間先生で、そしてたまたま唯ちゃんのお父さまだったという偶然が重なって今の状態になっているというわけだ。「――絢乃さん、強いですね……」
――結婚披露パーティーが終わったのは、まだ日も高い午後三時過ぎ。式場スタッフから引き出物(焼き菓子の詰め合わせとファンシーなトレーとコースターのセット)を受け取った招待客が、一人また一人と引き上げていく。「絢乃、新婚旅行から帰ってきたら、一緒に女子会ランチしようよ。あたしも唯ちゃんも、土日は予定空いてるからさ」 帰り際に、里歩がわたしにそんなお誘いをかけてきた。ちなみに、新婚旅行は四泊五日。帰ってきた翌日は、ちょうど土曜日だ。「うん、わたしはいいけど&he
「また兄貴は……、弟の晴れの場で目立つことしやがって」 苦虫を噛みつぶしたような顔で呟いた貢を、わたしは苦笑いしながら「まあまあ」となだめる。 お義兄さまも嬉しいんだろうな。自分の弟が、こうして(自分で言うのは何だか恥ずかしいのだけれど)可愛い女の子と幸せを掴んだことが。何たって、お義兄さまにとってもわたしは貢の女性不信を克服させた恩人という認識らしいから。「――では、続きまして、新郎新婦による〝ファーストバイト〟に移らせて頂きます」&nbs
「……絢乃ちゃん、お父さんの葬儀に参列できなくてすまなかったね。伯父さんは伯父さんで、海の向こうでお父さんの冥福を祈っていたんだよ。だから許してくれるかね?」 幸せな日なのに、父のことを思い出すと泣き出しそうだ。でも、それはきっと伯父も同じ。ううん、血のつながった弟を亡くした伯父はもっとつらかったはずだ。「もちろんだよ、伯父さま。だって、わたしやママより伯父さまの悲しみの方が大きかったはずだもん。だから、今日こうしてご家族総出でお祝いに来てくれただけで十分嬉しいよ。みんなによろしくね」 伯父は「ああ、分かった」と言って席に戻っていき、お義父さまと何やら話し始
――控室へ戻ったわたしは、ヘアスタイルやメイク・髪飾りはそのままに、淡いピンク色のオフショルダーのロングドレスに着替えさせてもらい、去年の誕生日に貢からプレゼントされたハートのネックレスを着けて、お色直しが完了した。 隣の控室から出てきた貢は、上下白のタキシードから上下グレーのタキシードに着替え、ループタイは紺色になっている。 黒はイヤなのにグレーはいいのか、とわたしはツッコみたくなったけれど、口に出して言ったら彼がいじけてしまいそうなのでやめておいた。 せっかくのおめでたい席だし、グレーも彼によく似合っていてステキだから……、とか言ったらノロケにしか聞こえないかも。「――では